代表所信
宮崎ブロック建設クラブ 代表所信
型 破 り
~スマートで魅力ある現場の実現~
第22代クラブ代表 後藤 健太
【スマートで魅力ある現場】
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会を控え、ここ数年の建設投資は右肩上がりであり、建設業界は、繁忙のさなかにあります。しかし、熱を帯びた今こそ、冷静に将来の課題を見通し、対処していくことが、建設業界の永続的な発展のために必要であると考えます。
建設業界は、深刻な労働力不足に陥っています。現場の職人である建設技能労働者数は1997年の464万人から現在の330万人ほどに落ち込んでおり、その3分の1ほどが今後高齢化などの理由から離職すると見込まれています。そして、5年後の2025年には必要労働者数350万人に対し、実際の技能者数は216万人となり、およそ130万人の労働力不足が推計されています。一方で、地域に住み暮らすひとの生命と財産を守るために、発災時には復旧活動の第一線で活躍し、平時には防災のためのインフラ整備で国土強靭化を担う建設関連業の社会的役割は、近年の自然災害の頻発と激甚化により大きくなっていくばかりです。今後30年以内に70~80%の確率で発生すると言われている南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定されている宮崎県は、労働者不足の深刻化と社会的役割の増大化による建設業界の「需給ギャップの拡大」という問題に、特に影響を受けるであろうと考えます。
郷土を守り、建設関連業の持続可能性を高めるためには、我々の経営資源の集合単位であり、収益の源泉である「現場」を進化させる必要があります。ICTによるスマート化によって、働くひとや資機材、土などのデータを有機的に結び付け、現場を全体最適化することで、生産性と安全性を高め、働くひとのモチベーションを上げていくことが可能となってきています。このような働くひとにとって、「スマートで魅力ある現場」を将来に向けた建設業界のあるべき姿と定義し、その実現を本年の建設クラブ活動方針とさせていただきます。
【現場のアップデート】
「スマートで魅力ある現場」の実現のためには、「働き方改革」や「i-Construction」に対応するICTなどの新技術の活用や他社との協業によって、安全性と生産性を向上させ、従来の現場のあり方をアップデートしていく必要があります。それによって、建設業界が働きやすく、働きがいのある仕事であることの認識が社会全般に広まり、若者、そして女性や高齢者の就業を促し、需給ギャップ解消へのポジティブな動きに転換できると考えます。建設クラブ会員にとって、現場のアップデートの糸口となるよう、先端的な取組みを行っている現場の事例研究及び紹介を行います。
【自前主義からの脱却】
現場をアップデートするためには、スピード感を持って、建設関連業の既存技術とICTなどの他産業から生まれた新技術を融合させ、現場にイノベーションを起こし、安全性や生産性についての課題を解決していく必要があります。そのためには、自社の保有技術だけで、全てを賄おうとする「自前主義」を脱却し、他社の技術活用を積極的に探求し、パートナーシップを構築していく姿勢が必要です。また、自社の得意とする技術を必要とする他社を見つけることで、新たなビジネスチャンスを生み出すことができるかもしれません。
JV(ジョイントベンチャー)施工という他社との協業になじみがある建設関連業だからこそ、他産業や行政などを含めて、広範な技術交流を行うことが、更なる成長のブーストとなると考えます。したがって、広い分野の建設関連企業で構成された建設クラブを交流ネットワーク機能として活用し、会員企業間、行政や他団体とのパートナーシップを推進する活動を行ってまいります。
【建設クラブらしさの追求】
脈々と先輩諸兄がつくりあげてこられた「建設クラブらしさ」は、特別なブランドであり、メンバーの誇りです。建設クラブは、ビジネスの根本である信頼・信用によって繋がったメンバー間の絆は強く、会員交流を大切にします。また、建設クラブは、個人の資質向上と会員企業の成長に資するものであり、学びを大切にします。そして、建設クラブは、クラブ入会2年目で若輩者の私に対しても、「クラブ代表」という大役を授けてくださるように、寛容と挑戦の姿勢を大切にします。
第22代クラブ代表として、この「建設クラブらしさ」を大切にし、常により良い組織となるようクラブ運営を行ってまいります。更に「建設クラブらしさ」を多くの方に知っていただき、クラブの活動に賛同していただくために、積極的な広報活動を行い、会員の拡大に努め、建設クラブの交流ネットワーク機能を強化してまいります。
【型破りな1年に】
建設クラブが、この変化が激しい時代に対応し、付加価値を高めていくためには、従来の常識や手法に捉われない、「型破り」な発想や行動が必要です。しかし、型を会得した者がそれを破ることを「型破り」というのであって、型のない者がそれをやろうとするのは、ただの「形無し」に過ぎません。
本年は、「変革」の精神で、発展的に型破りな事業を行うとともに、「温故知新」の精神で、師匠である先輩諸兄から「建設クラブらしさ」という型をしっかり学び、実践してまいります。
建設業界の明るい未来を切り拓くために、「スマートで魅力ある現場」の実現を目指し、「型破り」な1年にしていこうではありませんか!